人間嫌いの小説家の嘘と本当
肩を押さえつけていた手を外し、彼と向き合うように真幸の前に移動する。
そして両肩に手を置き彼の目を真っ直ぐに見つめた。
「聞いて、真幸。式場はキャンセルし忘れただけ。私は貴方のことを、もう好きじゃない」
「……嘘だ」
力なく座り込み、揺れる瞳で私を見詰めてくる真幸。
そんな彼に私の気持ちが届くように、ゆっくりと語りかける。
「嘘じゃない。私、今好きな人がいるの。我がままで自己中で、どうしようもない俺様男」
「そんな奴のどこが良いんだよ?そんな奴より俺の方が――」
縋りつくように私の腕を掴む。
私はその手を振り這うことなく、自分の手を重ね言葉を続けた。
「彼と居るとね、素の自分が出せるの。怒ったり泣いたり笑ったり、忙しい毎日だけど楽しいの」
侑李の顔が浮かんでは消えていく。
最初は、わがまま過ぎて付いていけないって思ってた。
彼の疾患や自分を狙う敵に立ち向かう強さ、小説に対する情熱いろんな彼の顔を見るたびに、どんどん惹かれていった。