人間嫌いの小説家の嘘と本当
彼にこの気持ちを告げることは無いかもしれない。
けれど、どんな形でもいいから彼の傍に居たい。
「涼花……」
「私は彼の傍にいたいの。真幸、こんな犯罪めいた事しないで、貴方を本当に愛してくれる人を見付けて幸せになって」
一度は結婚も考えた、愛した人。
闇に堕ちるのではなく、光の中で生きて欲しい。
どうか思い出して。人を思いやり皆に慕われていた学生時代を。
「涼花……ごめ、俺――」
少し涙声で小さく謝罪の言葉を口にする。
そして大粒の涙を流しながら、私の腕を掴んでいた手を放した。
同じ謝罪の言葉でも、今の方が何倍もマシだ。
良かった……私の気持ちが伝わった。
目の前の真幸は、子供の様に泣きじゃくり何度もう腕で涙を拭っている。
これでようやく私たちの関係にピリオドを打つことが出来た。
ホッと安堵の溜息を吐いたのも束の間、背中にゾワッと視線を感じ振り向く。
真幸に気を取られて、周囲の気配を感じるのに一瞬遅れてしまった。
「役立たずめ」