人間嫌いの小説家の嘘と本当

普通なら私が病院に行くのだけれど、侑李専属の主治医がいて、普段侑李が熱を出した時にも、病院には行かず家に呼んでいるらしい。

今回も櫻井さんが、余り動いては体に障るからと呼んでくれたのだ。



「はい。お願いします」



ソファから立ち上がり自分の部屋に向かう。

ふと侑李が気になって、立ち止まり後ろを振り向いたけれど、彼は気にすることなくパソコンに向かったままだ。

少し寂しい気持ちを抑え再び歩き出す。

早く怪我を治そう。
怪我が治れば、また侑李の手伝いが出来る。
手も足もろくに動かせない今の私では、彼の足枷にしかならない。

気持ちを切り替え、私は自分の部屋のドアを開けた。

暫くして、白衣を来た恰幅のいい初老の男性が、櫻井さんの案内で部屋に来てくれた。



「蓮見です。お初にお目に掛かります」



ベッドの端に座った私に、優しい笑みを浮かべて名刺を差し出す。
有名病院の名前が記された名刺を受け取ると、手際よく処置が始まった。


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