人間嫌いの小説家の嘘と本当

蓮見さんの隣では、櫻井さんが看護師役となり手伝い、手際よく後頭部の傷口や手の擦傷、足首を診てくれる中で、二人のあまりにも息の合った連携ぶりに驚かされる。



「いや~、侑李君が血相を変えて君を抱えてウチに来た時は、何があったのかと驚いたけれど、大したことなくて良かった」



処置が全て終わり手を洗いながら、世間話を始める蓮見先生。



「え……侑李が私を?」



てっきり櫻井さんが病院に連れて行ってくれたんだとばかり思っていたから、かなり驚いた。

目を瞬かせていると、櫻井さんが補足するように説明してくれる。



「一度は戻ってこられたのです。ですが、あなたが一向に目を覚まさないため、このまま死んでしまうのではないかと大騒ぎをした挙句、侑李様自ら病院にお連れしたんです」



ワザとらしく大きく溜息を吐いて、実際は単に眠りこけていただけだったんですが、とトゲのある言い方で付け加えた。


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