愛を教えてくれたのは若頭
『やめてよっ、違うって言ってるでしょ』
どうにか男の腕を剥がそうとするか
男のチカラには勝てない
ジロジロ見られるが
誰も助けようとはしない
『やめてっ!離してよっ!』
どんどん離される
男はビルとビルの間の細道へ入る
そして、少し歩いて
私をビルへと叩きつけた
「違わない。ウリをやってる事も知ってる…湯川茜ちゃん」
私の名前を知っている
何故だと思ったが
視界に入る社章バッチ
『…あなた…湯川の、部下?』
見た事があると思っていたバッチ
それは湯川が毎日身につけていたものと同じものだった
男はククッと笑い
また私の手首を掴み歩き出した
何故、湯川の部下が私を知っているのかわからないが、この男は私がウリをやっていて湯川の娘だと知っている