クリスマスプレゼントは王子さま



人が傷つき倒れる光景は、出来れば見聞きしたくない。


だけど……これがレン王子が生きてきた世界なんだ。常に命を賭けてきた彼の、戦い。


どれだけ辛くても、目を背けてはダメ。彼を理解したいのなら、しっかりと見据えなくては。

そう考えた私は震える身体を抱きしめながら、祈るようにレン王子の背中を見つめる。素早い判断で的確な指示を出す彼は、やがて私の方をチラリと見た。

「B1は援護しつつ移動しろ!おまえは走れ!!」


退路を確保できたのかレン王子が叫んだから、私は思い切って飛び出した。


レン王子の指揮のお陰か無事に倉庫から脱出することが出来たけれど。 草むらへと走る途中で、パンッと目の前にある機械類が飛び散った。


「きゃっ!」


咄嗟のことで顔を庇おうとしてしまい、「止まるな!」とのレン王子の指示を一瞬忘れて立ち止まりかけた――。


もう一度間近に銃撃があったけれど、それは私に覆い被さってきた人によって防がれた。


彼自身の身体を挺して。


「レン王子!」

「B1、左上斜め30度の角度で狙え!」


私に覆い被さりながらレン王子は指示を出していたけれど……薄暗がりでも判る新しい血の臭いに、まさか撃たれたの? と彼に触れた。


「レン王子……まさか撃たれたの?」

「……気にするな」


彼からはボソッと答えが返ってきたけれど。そんなのは無理。


好きな人が自分の為に傷つくなんて。自分がケガをする以上に辛いんだ。


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