クリスマスプレゼントは王子さま
新しい手勢が現れたのか、違う角度で銃撃があった。なのに、レン王子は私に覆い被さったまま動かない。
「レン王子、ダメ! 退いて。私は……あなたが傷つくのが嫌だ。私よりあなたの方がたくさん必要とされてるんだから……」
私が涙混じりで訴えても、彼は全く聞いてくれなかった。
「おまえには、家族がいる。おまえはそいつらの為にも生きる義務があるだろう」
レン王子にそう諭されて……ハッとなった時。何故か彼は、私に向けて不敵な笑顔を見せた。
「B2……今だ、撃て!」
レン王子が指示を出した刹那――倉庫の方から爆発するように炎が立ち上がった。
しかも、それから時を置かずして上空から何台もの大型ヘリコプターがやって来ていて。そこからロープを使い次々と武装した人間が降下していった。
「安心しろ。警察の特殊部隊が投入された……日下部刑事がやってくれたようだ」
「お前たちは囲まれている。これ以上の無駄な抵抗はよせ。抵抗を続ければ特殊部隊を強行突入させる。大人しく投降しろ」
レン王子の言葉通りに、全てを終わらせたきっかけは、スピーカーから聞こえた日下部刑事の呼びかけだった。
レン王子を狙った連中は全てとは言えないものの……ほぼ全ての人間がその場で捕まり決着を見た。