クリスマスプレゼントは王子さま




「あの……なぜ着ぐるみのままなんですか?」

「理由は話した」

「……私の気のせいかもですけど……余計に目立ってませんか?みんな見てますよ」

「問題はない」

「………………」

「………………」


いや……問題はおおありでしょうよ、と胸の中で呟いた。


いくらクリスマスが近いとはいえ、異国風のおしゃれなオープンテラスで、なぜにトナカイの着ぐるみで座っている必要が?


ほら、また周りの人が着ぐるみを見てクスクス笑ってますよ。


道行く人たちに指差し笑われる、そんな晒し者状態の私の恥ずかしさを察して欲しいのですけど。


(とはいえ……今は耐えるしかない。頑張れ、私!)


たとえ着ぐるみの中の人が単語しか返さなくても、寒風吹きすさぶ中で、晒し者状態でも。弟達が安全な場所に居られるなら……恥の1つや2つ、どうってことない。


……それに。


恋人になれ、とレン王子には言われたけれど。彼は本気でそう言った訳じゃない。あくまでも恋人“役”を提案してきただけだ。


レン王子の偽の恋人――今の私の立場はそれだった。


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