君に会えたら伝えたい事がある。
坂を下りてすぐのところに線路がありハナはその線路沿いを歩くと言った。
「どこまでいくの?」
「この先にベンチがあるの、私そこに座るの好きなの」彼女は微笑んだ。
でもこの線路沿いの道は今まで来た道以上に真っ暗だった。
「よくこの真っ暗な道を一人で歩くの?」
「うん、私すきだよ、何か懐かしい気持ちになれるの。特にイライラしたりモヤモヤしたりした時は必ずって言っていいほどここを歩くの」
「ハナもイライラしたりするの?」
「もちろん。私だって人間なんだからね」
「いや、いつものニコニコしてるから」
「そうしようと心がけてるの」
そうこう話をしているうちに彼女の言っていたベンチが見つかった。
僕はベンチの端っこに座り彼女のはベンチに仰向けに寝そべり頭を僕の膝の上に置いた。僕らはしばらく黙り込んでいたけれども不思議とその沈黙が嫌ではなかった。むしろ少し居心地の良さすら感じ始めていた。
「星がきれいだね」沈黙を破ったのは僕の方だった。この心地の良い沈黙と外の暗闇が彼女をどこかにさらっていく気がしたからだ。
「うん、でもさ私、星の中から飛行機の明かりを探すのが好きなの」彼女は穏やかなそして少し寂しそうな声でそういった。
「飛行機?なんで?」
「笑わない?」
「もちろん笑わないよ」僕がそう言うと彼女は起き上がって僕の横に座りなおして一度も僕の顔を見ずに語り始めた。
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