ばくだん凛ちゃん
「河内さん」

翌朝、僕は内科外来へ行く前に小児科病棟にあるナースステーションに立ち寄った。

まずはココ、押さえるポイント。

「至先生、おはようございます」

河内さん、すぐに察してくれてナースステーションから出てきてくれた。

「透先生の事ですか?」

さすがは河内さん。
僕は頷いて

「もうすぐ、透の子供が1ヶ月健診を受けるのですが、誰かその件について透に何か言ってました?」

河内さんは腕組をして考える。

「う〜ん…。
そういったやり取りはなかった気がしますよ。
小児科の先生同士ではないですか?」

「そうですか、ありがとうございます」

僕は頭を下げてその場から立ち去った。

透の勘に障るような事を言う人間なんて限られているけれど。

まあ、見つけたら声を掛けてみよう。



そう思うものの、今日の外来は異常なくらい、忙しかった。
時期的にインフルエンザも流行する時期だしね。

しかも午後から専門外来もあるし。

頑張れ、呼吸器内科医!

と、そろそろ無理が出来なくなってきた体に鞭を入れるのは難しいので脳内で自分を励ます。

励ました所で元気になる訳でもないが。



結局、一般外来が終わってすぐに専門外来に入って全てが終わったのは17時。

今からお昼ご飯ですよ…。

せっかく桃ちゃんが作ってくれたから、食べないわけにはいかない。

…夜は少な目にしてもらおう。

職員食堂はガランと空いていた。

一人、座っている人がいる。

あ…、ちょうど良い。

「前、いいですか?」

「おおっ、お兄さん先生!どうぞ」

チャラい小児科医、神宮寺先生。

透の大学の後輩であり、透がこの病院に来た時、一緒にやって来た先生。

僕は弁当箱を机に置いて、ゆっくり椅子に腰を掛けた。

視線をゆっくり下に向けた。



さて…色々白状させてやろうか。
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