ばくだん凛ちゃん

▽ 透 ▽

病院で色々診ているけれど。
中々手強いな、凛。

精神的に余裕のない両親の抱っこは嫌がり、他の人なら安心して眠る。
まあこれも今だけかな。
多分、この子は超お母さんっ子と思われる。
僕の事は心底嫌いそうな感じがする。
家にいないから、信頼されない。



凛。
こんな時に深い眠りに入るのか…。
仕方がない。
しばらく足の裏を擽るしかないか。

5分くらいしてようやく目を開けた凛。

「今のうちに撮りましょう!」

カメラの人も大変だな。
何とか凛が目を開けている瞬間を撮ってくれてホッとひと安心。
ハルが授乳に連れて行っている間に僕が写真を選ぶ事になった。

「お目め、くりっくりですね!」

写真を撮ってくれた方が嬉しそうに話掛けてくる。

「ありがとうございます」

少しだけ笑みを浮かべて僕は頭を下げた。
見た目はね、皆から可愛がられる。
でもね、親は辛い。
躾だけでは解決しない、根本の性格が生まれながらにして強すぎるんだ。
それは凛が色んな人に出会って、嫌な経験をしないと直らない。
僕がそうだったように。

「ではこれでお願いします」

疲れていたので適当に決めた。
係りの方があまりにもアッサリと決めた僕に驚いていたけれど。
酷い写り方でなければいいし。

授乳から戻ってきたハルと凛。
凛は気持ち良さそうに寝ている。
まだ2ヶ月弱だものね。
疲れるよね、大人でもこういうの、疲れるし。

凛の抱っこを代わった。
幸せそうに寝ているなあ…。
うん、体重も重くなってきているね。
以前に比べて腕に重さを感じるようになった。

そのうちいつの間にか大きくなって、お父さんの抱っこなんて嫌がるんだろうな。
今のうちにしっかり抱いておこう。
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