結婚ラプソディ
その夜、私とお姉ちゃんがロフトで寝て、お兄ちゃんはソファーで寝る事になった。

「お姉ちゃん」

布団の中で私は小さい声を出した。

「何?」

「…お兄ちゃん、時々怖い時ってない?」

お姉ちゃんは一瞬、目を逸らした。

「…透が怒るのはそれなりに理由があるわよ。何かやったの?」

お姉ちゃんは更に声のトーンを落とした。
お兄ちゃんに聞こえないように。

お兄ちゃんは今、下でPCを使って何やら入力している。

「先にショックを受けないように言っておくわ。
…水間先生とお付き合いしてるの」



「えっ!」



お姉ちゃん、声が大きい!

お兄ちゃんが一瞬、手を止めてこちらの様子を伺っているのがわかる。

しばらくしてカタカタとキーボードを打つ音が聞こえた。

「いつから?」

動揺を隠しきれない様子でお姉ちゃんは私を見つめた。

「お姉ちゃん達が前にこちらに来てからしばらくして…。ひとりで居酒屋にいたら先生もフラッと入ってきて、意気投合」

お姉ちゃんはひとりで居酒屋に入る女子大生、という部分で引いているのかもしれない。
私の顔を見たまま、しばらく何も言わない。
ようやく言った言葉が

「…本当に好きなの?」

歳の差14歳。
聞かれても仕方がない。

「うん、多分」

お姉ちゃんはため息をついた。

「だから透、明日一緒にって言っていたのね」

と言って目を閉じた。



あーあ…。
大学卒業まで黙っておくつもりだったのにな…。
< 13 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop