結婚ラプソディ

★ 水間 哲人 ★

飛行機を降りて、透が怒っているというメールを見た。
メールの送り主はナツ。

…日下教授だな、透にバラしたのは。

まあ、心配されても仕方がないか。

とはいえ、別にお互い既婚者で浮気・不倫の関係じゃない。
お互い独身。
ただ、恋愛感情がなければ准教授と学生の間柄。

多分、大学内では日下教授しか知らない。
ナツが大学を卒業するまでは周りに知られてはいけない。
そのせいでナツが甘めに点数を付けられているとかそういうことになってはいけないのだ。
まあ、もう俺がナツが受ける講義を担当していないし。
これが去年ならヤバかったが。
今は関係ないと言えば関係ないが、それでもねえ。

…留年しなければあと1年半の我慢だ。

多分、ナツがうっかり何かしながら日下教授の前で呟いたのだろう。

「邪魔くさい…」

この邪魔くさい、という考えが俺を恋愛や結婚から遠ざけているに違いない。
それをほどいたのはナツだった。

しかし透だけにはまだバレたくなかったな!!
アイツは厄介だよ。
世の中で一番敵に回したくない相手だからな。

奥さんが仕事できなくなって実際ナツを養っているのは透。
20歳を過ぎているとはいえ、一応ナツの保護者の身分に該当するからな。

もう、バレたなら俺が養おうか、いっそのこと。
透が絡むからややこしい。



透が指定してきた店に着いたのは午後8時。

少し緊張しながら店に入った。
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