結婚ラプソディ
午前2時。
部屋全体は薄明りのライトで照らされている。

静まり返った部屋の、ソファーの隣で私と透は横になっていた。

「そろそろ、ロフトにも上がるのは危なくなるからこの辺りに布団を敷いて寝ようか」

後ろから抱きしめられて耳元で囁かれる。

私は頷いた。

「それにここなら密着出来るし」

透は私のお腹に手を当てた。
この1週間で急にお腹が大きくなってきた気がする。

「…でも、僕がここにちゃんと帰って来られるかどうかは微妙だけど」

うん、そうね。
帰ってきても呼び出しですぐにいなくなってしまう。

「それでも、出来るだけ居られるようには努力するよ」

「…ありがとう」

その気持ちだけで充分。
その言葉だけで、本当に私の心が安定する。

透の体の温かさが背中全体に広がる。
うなじに透の唇の感触が落ちてきた。

後ろを向いて透の顔を見たいけれど、お腹で後ろに向くのは難しい。
そのまま、されるがまま。

私はお腹に当てている透の手に自分の手を重ねた。

しばらくすると透の微かな寝息が聞こえ始めた。
私も目を閉じる。



おやすみ、透。
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