ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
あの日のハルは、どこか掴みどころがなく儚げで、触れると消えてしまいそうだった。

「雨に濡れてしまったハルに貸した水色のハンカチも、とうとう返ってきませんでした。あの傘とハンカチ、どうしたんだろう?」

ハルはあの日、どこへ帰ったのだろう。1人雨の中、赤い傘をさして。

「天国で使ってるかもね」

「いやいや、それは詩織さんに申し訳ないですよ」

「それもそうね……ちょっと待って……赤い傘?水色のハンカチ?」

「……?」

お姉さんは、もしかして、なんて呟きながら部屋の奥へと向かう。

まさかとは思うけど。そう言ってお姉さんの手から差し出された物は。

「えっ?」

まさか⁈

あの日、ハルとさして帰った赤い傘と同じ物だった。

そして、その柄に結ばれていたのは水色のハンカチ。
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