ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「まさか、こんな所にあったなんて」

天国には、持って行けなかったのかな。そんなことを思いながら優しく傘の柄を撫でると、結ばれていたハンカチが少しずれ、その赤い柄に何かの文字が書かれているのが見えた。


『ありがとう』


ハルーー?


小さいその文字は、間違いなくハルのもので。

私は震える手でお姉さんにそれを見せる。

「ああ……」

お姉さんも私も。

溢れ出す涙を抑えることができなかった。

精一杯の、ありったけの気持ちがそこに。
ハルの、春太さんの思いが、そこに。

お礼を言われるようなことは何もしていないのに。むしろハルは私を助けてくれた。

ただ一緒にいた、それだけだった。

「ありがとう、ハル」

お礼を言うのは私の方だよ。
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