空の下で
心停止をしたと思われる時間から5分を過ぎたころ、やっと脈を打ち始めた。


酸素マスクをつけ、集中治療室に移動した。


汗をびっしょりかいて、目をつむって寝ている。


心停止して3分を超えると、社会復帰率はとても下がる。


このまま目を覚まさない可能性さえある。


「すみません、翔さん…」


「あ、お兄さん、」


「母がもうすぐ来ます…


 ご迷惑をかけてすみません。」


「いえいえ…」


「なら僕は仕事に戻りますね、お世話になります。」


「いえいえ、こちらこそ」


お兄さんが行ってから、柚姫のベッドの横の椅子に腰かけて、柚姫の顔を眺めていた。


なんで俺は気づいてやれなかったんだ…


柚姫…目を覚ましてくれよ…


って思ったところでどうにもならないことは知ってるんだ。
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