欲情プール
でもその夜は約束通り…
お気に入りのイタリアンに連れて行ってもらった。


「美味しい!
相変わらずここの料理は絶品ですねっ」


「今日は特別メニューにしてもらったんだけど…
気に入ってくれて良かった」


それって…
やっぱり誕生日のお祝いだから?

だとしたら、なんでそう言わないんだろう…
誕生日を調べたのがバレるから?

そんな、今さらだよね。


少し気になった私は…
朝の言い訳も兼ねて、自ら誕生日絡みの話題を振ってみた。


「ところで専務。
今朝は我儘を言ってすみませんでした。

実は昨日、私の誕生日で…
この指輪は夫からの、」

「旦那の話はやめてくれ」

そう遮ってきた慧剛に…
唖然とする。


だけどすぐさま。

「っ、それ、ヤキモチですかっ?」


騒めく胸を隠すように…
茶化して、その少し気まずい空気を取り繕った。


「…

妬ける立場じゃないだろ、俺は」

だけどフイっと躱される。



そんな明らさまに線引きしないで…

ねぇ…
慧剛に妬く気持ちはあるの…?


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