欲情プール
早速雇用手続きを済ますと、その夜は親睦を図って食事に連れ出した。


「社外では堀内って呼ばせてもらうけど。
その名字好きじゃないし、俺の方針なんで…
社内では茉歩って呼ばせてもらうよ?」

そう、策略の方針上。
名前呼びの方が距離を縮めるのに効果的だ。

それに、俺の目的を邪魔してるあの男の名字も呼びたくはない。


茉歩には子供みたいだと呆れられたものの。

連れてった一押しのイタリアンはかなり気に入ってもらえたようで…


なのに突然、美味しそうにスイーツを食べてた手が止まる。

旦那との何かを思い出したのか、その顔は強張ってて…


「味見」

咄嗟に俺はその手を引き寄せて、スプーンで掬われたままになってるスイーツを横取った。


「うま!濃厚っ」

変に胸を騒がせながら、そうはしゃぐと。


「ほんとに、子どもみたい…
先が思いやられます」

また呆れられる。


まぁ、距離を縮める為の行動でもあったけど…
少しでも胸の痛みを邪魔出来たならそれでいい。

そして暫くは覚える事だらけだから、痛みどころじゃなくなればいい。



華那もどこかで胸の痛みに苦しんでるだろうか…

痛いのは俺だけでいい、どうか早く忘れてくれ。


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