欲情プール
それから大急ぎで打ち合わせを済ますと…

奥の部屋で身支度を整えてた俺は、お気に入りの腕時計を取り出した。


それは勝負時計で、ここぞという大事な場面や厳しい状況下で付けていて。
いつも幸運に導かれて、その都度成功を収めてた。

だから今回も、プレゼンが上手くいくように…
何としてでも最後までやり遂げられるように…


薬なんかはほんとに気休めでしかなくて。
頭は割れそうだし、気を緩めたら今にも倒れてしまいそうだけど…

精神力を奮い立たせて、深呼吸をすると。
勝負時計をカチャリとはめて、自分にスイッチを入れた。




そうして会議室に控えると…

隣で張り詰めた様子を覗かせる茉歩。


俺の我儘に付き合わせて、悪いな。
けどこれもいい経験だし、お前なら大丈夫だ。


「ちゃんとやり遂げたら、茉歩に撫で撫ででもしてもらおうかな」

緊張をほぐすつもりでそうふざけると。


「そんな事言える元気があるなら、大丈夫ですね。
一緒に、乗り切りますよ?」

そう言われて、俺の方が助けられる。


それはものすごく心強くて。
底つきそうだった力が湧いてくるようで…
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