欲情プール
そうやって露美は上手く丸め込んだものの。
茉歩は…


俺との関係が、偶然や成り行きじゃないと気付いただろう。

全部報復だと思っただろうか…
俺の事なんか、嫌いになっただろうか…

胸がズキリと締め付けられる。


自業自得なのはわかってる。
だけどそれでも、茉歩を失いたくなくて…

遣り切れない思いでビル下に降りると。

もういないと思ってた茉歩の、異様な姿が映り込む。


いつしか降り始めてた雨の中、びしょ濡れの状態で佇んでいて…


「茉歩っ!」

慌てて俺は軒下に引き入れた。


そんなに傷付けてしまったのか…

クールな茉歩とは思えない行動に戸惑ったものの。
不倫された挙句、その報復まで受けたと思えば当然だろう。

いたたまれない思いで、冷えた身体を摩ってると…


「離して下さい。人前です」

その顔を覗き込んだ俺から、逃れようとする茉歩。


「いいからこっちを向いてくれっ」

心配で、背けられた顔を強引に持ち上げた瞬間。

零れる涙に、胸が切り裂かれた。


それを雨だと言い張る茉歩が、痛々しくて…
いっそう胸が引き裂かれる。
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