欲情プール
その瞬間。

どうしょうもなく込み上げる灼熱の想いに埋め尽くされて、なおも溢れ出すそれに口元を覆った。


茉歩っ……

茉歩っ!



ー「やめて聡っ!私が悪いのっ…」

「私は何も…変えたくない」

「私が専務を守ります」ー


守るつもりが、いつだって守られてたのは俺の方で…


ー「すみません、でした…」ー

きっとその時も俺のためにっ…


どれくらいぶりに、涙なんか流しただろう…




「彼女の気持ちを無駄にしないためにも、君がすべき事はなんだと思う?」


「…目的を、成し遂げる事」

土下座までして守ろうとしてくれた俺の人生を、その目的を、投げ出す訳にはいかない。


「そうだね。
だけど道はひとつじゃないと思うんだ。
政略婚という近道もあれば、ゆっくりと進む遠回りも、そして苦しい茨の道も…

誰だって願いが叶う保証があって頑張ってる訳じゃない。
願いを叶えたくて頑張ってるんだ。
君ならどうする?」
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