欲情プール
当然茉歩は、いきなりのそれに酷く戸惑って…
どういう状況かと混乱してるようで。

だけど怒ってる様子や呆れてる様子はなく、むしろその瞳は潤んで見えた。


どんな反応を返されるのかと不安だらけだった俺は、ひとまず胸を撫で下ろすと…

茉歩が安心するよう、地盤を充分整えた事を説き明かす。


「本来政略婚で手に入れるはずだったものは、だいぶ時間は掛かったけど自力で全て手に入れたし…」

開発プロジェクトの一環で展開した自社の施工シリーズは、一躍人気を博して。
今じゃ武生興産から得られる以上のブランド効果と影響力を発揮していた。


「人間死ぬ思いを味わえば、何でも果たせるんだなって!」

これまでの事を掻い摘んで、そう締めくくると。


「死ぬ思い…?
っ、そんな思いを、したんですか?」

散々な目に遭わせた俺を、それでも心配してくれる茉歩に…
グッと胸が掴まれる。


「…したよ」

本当は死ぬ気になればといったニュアンスで口にした言葉だったけど、そんな思いをしたのも事実で…

「今、目の前にいる…
心から愛してる( * * * * * * * )女を、傷付けて、離れて。
苦しくてっ、死んでしまいそうだった…!」
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