スノー アンド アプリコット
怒鳴ったら、結局いつもの応酬になった。
「俺でいいだろ!!」
「嫌よ!」
「なんでだよ! これ以上の男がどこにいるって言うんだよ! お前の目は節穴か?!」
「バッカじゃないの?! 学生なんて論外よ!」
「知ってんだろ、俺はあと数年で医者なってそのうち大病院を継ぐ!」
「あたしは! 数年とかそのうちじゃなくて! 今! 今幸せになりたいの!」
「幸せってなんなんだよ、お前の幸せって!」
「そこそこ稼ぎがあって家が上流家庭じゃなくて嫁の育ちを問わない男との結婚よ! 決まってんでしょ!」
「決まってんのか、それは…」
ユキは不服そうに声を落とした。
「決まってるわよ。」
セレブなんて、絶対、嫌。色んな男があたしに高価なものを贈ってくるけど、あたしが欲しいのはそんなものじゃない。
畜生、とユキが呟いた。
「…とにかく、結婚はやめろ。」
「ーーーっ、なんなのよ、もう!!」
あたしは爆発した。昨日から、一体なんだっていうのよ。
「わけわかんないわよ! 絡むのやめなさいよ!!」
「絡んでんじゃねえよ! 口説いてんだよ! 馬鹿か!!」
あたしの爆発にユキが上乗せしてキレてきた。やっぱりクソガキだ。それが口説く態度なわけ?
「好きだっつってんだよ! まだわかんねえのか!!」
「そんなことっ……」
そんなことはもうわかった。
昨晩、いやというほど、わからされた。
だけど、だから、どうだっていうの。
あたしがユキと、なんて考えられない。考えられないはずなのに。
「……結婚はするから! もうプロポーズ受けちゃったし!」
「てっめえ…」
ああ、もう!
いつもみたいにこのまま部屋を出られればいいのに。立てないし。
しかもあんな夜から一滴も何も飲んでいないのに怒鳴って、猛烈に喉が乾いていた。
「水!」
やけくそであたしが言うと、ユキは憤然とシンクに向かってグラスを取ってくる。そうよ。それでいいのよ、あんたなんか、下僕なんだから。