スノー アンド アプリコット
あたしが差し出された水を飲んでいると、ユキも自分で水を注いで一気に飲み干していた。
テキーラみたいな飲み方をしているから、水が鋭角的な顎を伝って滴り、妙に艶めかし…
「く、ない!!」
「は?」
ユキが怪訝そうに見てきた。
目鼻立ちがくっきりとバランスよく配置された小さい顔と、ちょうど同じ幅くらいの首。胸板が意外とあるから、細身なのにあまり華奢という感じの印象じゃなかったわけだ。
なんて。
「……どーでもいいわ!」
「なんだよ。」
ユキが近づいてくる。
「何よ!」
「何って、風呂。入りたいだろ? 入れてやるから。」
「結構よ!」
あたしは今更ながら服を着ようとしたけれど、ブラウスが破けていた。ああ、何もかもが腹立つ。
「服弁償しなさいよね!」
「お前昨日の俺の被害を忘れたか! そんなもん相殺だろ!」
「それは不可抗力! これは故意! 比べんなクソガキ!」
「…わかったよ。」
は?
急にユキが折れた。
珍しいなんてもんじゃない。
どうせ言うことを聞くくせに、こいつはいつも反抗的なのだ。
「いいぜ。服買いに行こう。デートするぞ。」
「ーーー……」
何を急にそんな、カッコイイだろうと言わんばかりのナルシシズム全開の笑顔を作って。
ほんとに何言ってんの?
「あんたと二人で出かけたところで、何がデートなのよーー!! 思い上がるなあああ!!」
あたしはブラウスをユキの顔に思いっきり投げつけて、あらん限りの力を振り絞って怒鳴り、そして立った。
「バカ、おま、そのかっこのまま外出んな…!」
バタン!!
スカートにブラという謎のダンサーみたいな格好だからって、大したことない。隣の部屋に住んでいるのだ。鍵を開ける時間を入れたって、ドアツードアで10秒だ。
その間足を踏みしめていられるかのほうが問題だった。あたしは鍵をしっかり閉めてから、自分の部屋のドアの前にへたり込んだ。
自分の意志の強さを褒めたい。
そうよ。あたしは負けたりしない。
唇を噛みしめて、あたしはまた立ち上がった。