スノー アンド アプリコット

ここに入った当初は、まあもちろん、あたしみたいな女は役所なんかにはいないタイプだったから、色めき立つ男も居れば鼻を伸ばす男もいて、女には疎まれた。

だけど、あたしは絶対に職場の男とどうこうなるリスクを犯す気はなかったし、残念ながら要領も頭もいいから仕事ができるし、他人をあしらうのなんかキャバクラで働いていた身としては朝飯前だし。
人並みの頭があれば、あたしを敵に回すことが得策じゃないことくらい、すぐわかる。
事実、そんな空気は塵みたいに消えた。

だけどあのババアだけは、今までしぶとくあたしを目の敵にしている。でも小心者だから、周りに止められない程度の小言しか言えない。
脅威ではないけど鬱陶しい、コバエみたいなババアだ。
まあ、あたしを辞めさせたいんだろう。

馬っっっっ鹿じゃないの?
やっと手に入れた公務員の座を手放すわけないじゃない。

まあだから、揉め事を起こさないために、奴をノイローゼに追い込むことも、大声で侮辱することもしないでいるわけだから、あたしのその意志がクソババアを救ってるってことでもあるんだけど。

あたしは、ハーイ、とにこやかにだけど全く相手にしない態度で笑顔を向けてやった。


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