スノー アンド アプリコット
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「………ユキくん…」
俺が話し終わっても、誠子ママはしばらく言葉が見つからないようだった。
「…というわけだから、両親は今も長野いるだろうけど、もうアンナは二度と両親に会うつもりはないらしいよ。」
「それは、わかったけど…」
誠子ママは様子を伺うように俺を見た。
なんだ?
オカマの上目遣いなんか、なんの得もない。
「ユキくんの行動って、もうストーカーそのものだと思うわ。」
「は?」
俺?
杏奈の生い立ちに呆然としたんじゃなくて?
キララに目を向けると、こちらも、ドン引きして俺を見ていた。
え?
「…大体、探したとか突き止めたとかサラッと言うけど、一体何をしたわけ?」
「…………」
痛いところを突いてきた。
「いや、それは………」
言い淀んだ俺に、誠子ママとキララが揃って深いため息をついた。
「女ね。」
誠子ママが言った。その断定的な言い方に、俺は頷かざるをえない。
「…………まあ……」
ヒィィィ、とキララがおぞましげな悲鳴をあげる。
「そこらじゅうの女と身体の関係を結んだってわけねェ?!」
「まあ…必要だったら…」
俺は控えめに肯定する。
最初のうちは、杏奈の割と近くにいた女友達を当たって、思わせぶりな態度で迫った。
だけど大した情報はなかった。
でも、時間が経てば杏奈から何かしら連絡を取ってくるかもしれない。そんな女たちを切るわけにはいかなかったから、定期的にデートをした。
まあ、女によっては色々した。
キスだけで済む女もいたし、セックスをねだる女もいたし、何も言えずもじもじしているけど快楽責めにしたら何でも話す女もいた。
だけど杏奈が長野へ行った、ということを教えてくれたのは、その誰でもなく、情報通で有名な、生徒の母親だった。
それが確かなことらしい、と裏を取らせてくれたのは、女教師だった。
「まあ総じて言えるのは、労働のわりに、対価の情報は全然少なかったってことだな。」
「イヤー、最低! 汚らわしいわ!」
「仕方ないだろ!」
両親の金も協力も無い俺が持っているのはこの美貌だけだったのだ。