興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
…あ゙!!………藍原…。
…抜け殻が残ってるぞ。マットの事よりこっちがまず先だろうに。
フ、…何してるんだか…。忘れていくなんて、…どうする。何か適当な紙袋あったかなぁ。
俺が脱がしたワンピースとストッキング…。うちで洗濯って訳にはいかないし。ワンピースはクリーニングじゃないと駄目だろ?ストッキングは…洗濯ネットとか、手洗いじゃなきゃ駄目なもんだろ?…。洗剤だって違うだろ?
……持って行くしかないよな。
まずは袋探しだな…。


ピンポン。
カチャ。

「おい、藍原、これ、忘れ物だ…ぞ…」

…嘘…だろ…。

「こんばんは、坂本」

…。課っ、長…じゃないか。

「…こんばんは。あの、これを藍原に」

「ん、解った。確かに。渡しておくよ」

「はい。では、…失礼します」

「ああ、おやすみ」

「失礼します」


…がぁー。…ビビったぁ。なんで課長が…。
課長が居るなんて、聞いてないぞ…。

はぁー。…紙袋。
中が見えないように閉じていて良かった。課長は開けてまで見ないだろうし。多分、そのまま、忘れ物だってさって、渡してくれるに違いない。課長はそういう人だろう。そう願うしかない。

あ゙ー。それにしても、ビビったぁ…。
居ると思ってない人に出くわすと、声も出ない程、驚くもんなんだな。
俺が女子なら課長だと解って、悲鳴が出ていたかも知れない。あ、居ても不思議じゃない関係だと、俺が知ってると感じたかな。すっ呆けて、あれ?お見舞いですか?とでも言った方が自然だったんじゃないのか?それか、何で居るんです?とか…。しまったな…。驚いたんだから、聞く余裕もなかったってことでいいか。
…フ。まあ、迂闊に、げっ、て、声が出なくて良かった。
まさか、この僅かな時間に来ていたとは、思いもしなかった。あー、びっくりしたぁ…。
うっかり、忘れ物、って言ってしまったけど、課長はどう思っただろうか。
藍原の具合を尋ねなかった事もどう判断しただろう。
聞かなくても知ってるんだって、思ったかな。まあ、短い時間だったし。
それにしても…藍原の奴ー。課長が来るから、すんなり帰ったのか?
…あいつー。そうだよな。
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