興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
後で来るからと告げ、一旦部屋に戻った。
ドアの鍵は開けておくと言われた。

寝室は相変わらずドライでヒンヤリとしていた。
Tシャツの入った段ボールもよく冷えていた。
マットは、もう随分と渇いた事だろう。

風呂に入り、…隣に移動するだけだからといっても、始めからTシャツ、パンツでうろつく訳にはいかない。
スウェットの上下を着て藍原の部屋に戻った。

開けておくと言ったドア…ノックもせず勝手に入った。

キッチンに立つ藍原は、相変わらずだった。
藍原も風呂に入ったんだな。…今夜はキャミソールに短パン。今夜も、だ。…いつも通り。
俺が泊まるって解っているのに…。
せめてもう少し袖のある物とか長めの物を身につけてくれないかと思うが。自分の部屋に居るんだと思えば、寝るだけだ、これが普通か…。

カチャカチャと後片付けをしていた。

「藍原〜?手伝おうか?」

「もう終わりです」

入ってきたことは気配で解っていたんだろう。急に声をかけても驚かなかった。

「そっか…」

手を拭きながら藍原が言った。

「薬を飲んで、今夜は早目に寝ようと思います」

「そうだな。その方がいい」

…。

「あの、直ぐ寝ます?まだ起きてますか?坂本さん」

正直寝るにはまだ早い。

「そうだな。まだ起きてるよ、いいか?」

「はい。では私は先に寝ます。冷蔵庫の中の物、何でも好きに、いいですから」

「うん、有り難う。…おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

…何だか違う。俺もだが、藍原も。
気のせいでは無いだろう。他人行儀なほど他人ではないが。…俺の寝室のような空気が漂う。
いや、これが普通だと思う。男と女が一晩を供にするんだ。
どこか張り詰めた空気があって当然なのだ。今夜は俺の中の問題だ。
…俺は緊張していた。
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