興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
一応インターホンを押した。

ピンポン。

…。

応える声も無いし物音もしない。
ふぅ。
ノブに手を掛け回してみた。


回らない。よな。
鍵は掛かっていた。

…。

やはりこれはスペアという事か。
それとも、もうこの部屋には、あの日以来、帰って来て居ないという事か。


どうする…。
戸惑いながらも鍵はもう差し込んでいた。
カ、チャ。
今日になって入ったところで…。もう、よくわからない何か…、すれ違ってるよな…。

大胆に入れない事がまさに不法侵入してると同じじゃないかと思った。
小さく開け、そっと入った。
なるべく音をたてないように行動しているところが実に怪しい…。


玄関に靴の類いはないようだ。

「お邪魔しますよ?…藍原?」

何の為の挨拶だろう。留守の確認…まるでこそ泥じゃないか。
言い訳のつもりか…。


キッチンもリビングダイニングもスッキリしている。
掃き出しのベランダのサッシにはカーテンが掛かっていた。
…日焼け防止かな。

意味もないのにバスルームも開けてみた。
かくれんぼしてる訳じゃないんだ…。真っ暗な場所に居る訳ないよな。
誰も居ないのは当たり前…。

ベッドルーム…。
何だか入っちゃいけない気がした。

…恐いもの見たさに近かった。
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