興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「と、いう事で…。お邪魔しま〜す」

え、え、ちょっ、ちょっと待って。ゴトゴトと靴を脱いで廊下を進んで行った。

「坂本さん、待ってください、困ります」

足取りはしっかりしてる。真っ直ぐ歩いてるし、速い。

「何?」

いきなり、振り向かれた。

「わっ、何って…。もう、夜遅いですし」

「藍原ちゃん、聞いてもいい?」

はぁ。この期に及んで何?

「…何でしょうか…」

「藍原ちゃん、幾つ?」

え?歳?あ、私は坂本さんの年齢を聞いて、自分は納得してたんだった。でも、逆に、聞かれなかったし。

「27です」

「そっかぁ。ふたつ下なんだぁ。…可愛い」

え?……可愛いとか…言われても…年齢も年齢だし…。

「彼氏は?居るの?」

「ぇえ?…居ません。居ませんけど、好きな人は居…」

ん?ん゙ん゙。いきなり唇がくっついた。えっ?

「ん…居ないなら…いいよね…」

んん…、ん゙ー!また…だ。頭を押さえられた。ちょ…。

「ん゙。ハァ、ハァッ、ちょ、ちょっと!いきなり何するんですか!」

いいわけないでしょ、こんな……。

「んー、気になるから?」

何…平然と……してくれてるの…。私の大事な……。

「き、気になるって…何ですか!これ……え?」

腕を回された。抱きしめられた。

「…彼氏居ないって言う。だけど、金曜は抜け殻になって立ってた。そんな人、気になるでしょ、普通。そう思わない?」

…。

「あ、好きな人は居るんだ、よね。だったら、あの状態、好きな人の良くない場面にでも出くわしたって事かな?…どう?ビンゴだろ」

知った風な事…。

「…もう…勝手に。人の心に土足で踏み込んで来ないでください。…私には私の理由があるんです」

「ほらね。当たりだ。泣いてないだろ?」

「え?」

「その抜け殻の原因。泣いて無いだろって言うか、まだケリを付けて無いだろ?」

「…え?」

この人…、何を知ってるっていうの?

「一条匠」

「…え」

ずっと見てたの?

「詳しい事情は知らないけど、課長さんだろ?諸々の原因は」

藍原の目線の先には課長が居た。ま、あの段階では俺はあの子供連れの男が課長とは知らなかったけどね。
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