興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
あー、もう、こうなったら仕方ない、無視、無視。

「あー、尚紀さん?ベッドに入ってから聞くのも何ですが、シャワーとかいいですか?
使われるなら使って頂いて大丈夫ですよ?」

もうベッドに入ってしまった後だし、聞かなくてもいいかなと思ったけど。

「紬は?」

「私?私は、まだこれからですよ?」

「おっ、…想像した。いきなりそんな事言うから」

いきなりって言われてもね…もう。はぁ…。聞いたのはそっちでしょ?

「…勝手に想像しないでください。…使うなら先にどうぞ。替えのパンツとか、必要なら買ってきましょうか?」

「紬…。嬉しいけど、それは駄目だ。買うなら俺が行けばいい事だから」

「…はい」

あ、そうよ、そうだった。坂本さん、別に出掛けられない訳ではなかったんだ。もう、完全に混乱してる…。

「このまま寝ていいなら今はこのまま寝る。朝、また直ぐ入らないといけないし」

「はい。私は別に構いませんよ。では、私、失礼してちょっとシャワーして来ます」

「あ、おぉ、うん。行ってらっしゃい」

「…行って来ます。フフ、何だか変ですね」

変なんて言うのは今更よね。

「ああ、何だかな。もう既に…」

「明かり、消していいですか?」

また何か言いそうだったから食い気味に聞いた。

「あ、ああ、いいよ」

「では」

パチッ。ベッドサイドのスタンドの明かりだけになった。


あーー、明日仕事で良かったかも。緊張感、緊張感。じゃなかったら、俺、気の済むまで暴れん坊〇軍になってたかも。まずいよな。こんな素直に許可されるとは思わなかった。それにだ。
まさか本当に一緒に寝ようなんて言うと思わないもんな。ぬけぬけと先に寝てる俺も俺だけど。
本当、ソファーで上着を掛けて横になれればそれで良かったのにな。

…言われてみるもんだ、ん?…おかしい、言ってみるもんだ、だ。あ?
はあぁ、でも…ヤバいよな、…これって。……布団も…なんだかいい匂いがするし…。

「尚紀さん?ちょっといいですか?」

あれ?紬、シャワーに行ったんじゃなかったのか。にしても早くないか。

「あ゙、ああ、何?」

「ちょっとサッパリするかなと思って…、勝手に…。嫌でなければですが…」

「ん?」

そう言って、掛けてある布団の脚の方がサッと捲られた。

「失礼しますね…」

「うわっ、紬、いきなり何だ?!」

俺…襲われる?…そっちから?

「あ、いいですよ、そのまま…横になっててください。大丈夫です、気にしないでください」

そ、そんな…まさか、いきなりそんな事を?……え゙ー?
脚を取られた。お、おい。堪らず体を起こした。

「あっ…、紬…。いきなりは…いくら俺だって。
そんな…あ、…ああぁ…気持ちいい、気持ちいいよ…」

体の力が抜けていくのが解った。こんなの…最高だ…。

「フフ、でしょ?熱いタオルで拭くだけでも気持ちいいですよね?」

ハハ…。はい、凄く…気持ちいいです…。
一瞬過ぎった邪な気持ちが恥ずかしいじゃないか…。アホか俺。
紬、脚、拭いてくれちゃってるのよね…。しかし、これはなんと気持ちいい…。

「あー、何だか、凄く悪いな。シャワー行けば良かったな」

「いいえ、いきなりしちゃって、すみませんでした。別にそのまま寝られたのが嫌だったとかではないんです、誤解しないでくださいね。
こうするとサラサラして気持ち良くて眠れますよ?」

その通り。

「…ん。お陰でさっぱりしたよ。脚なんか拭いて貰うなんていつ振りだろう。…悪いな。だけど嫌じゃないのか?こんな事」

不思議な子だな。普通こんな世話なんかしないよな。…いい子だな。
…それとは別にこんなに触られてると……改めて邪なモノが目覚めてしまいそうだけど…。だから、堪えろ、俺。

「ちっとも。子供の頃って、よく遊び疲れて眠ってしまうことがあって。私、よく母にしてもらいましたから」

あへ…俺は遊び疲れた子供扱いか。そうか…そういう事か。…まあ確かに今夜は強引に…やんちゃ過ぎたか…。

「はい、終わりです。では、改めてシャワーに行ってきます」

「ああ、有り難う。ごめんな」

いいえ、と首を振る。紬は何でもないみたいだけど、俺は何だか照れ臭いな…。
…何もかも飛び越えて、夫にでもなった気分だよ。甲斐甲斐しく世話をしてくれる奥さん、みたいな…。
紬は抵抗は無いのかな。
会って間もないのに。何だろうな…、凄く自然な感じで楽だ。言い合う事が楽しいし、言いやすい。つい、からかい過ぎたけど。…受け入れてくれるから、つい、色々と…。
受け入れてくれてる訳じゃないか、流石にそれはな…。
ま、遠慮なくしてる俺だけの都合のいい考えかな。
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