興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
…ふふん。朝ご飯を一緒に食べて一緒に出勤なんて、何だか同棲カップルみたいだな。

俺は顔を洗い歯磨きを済ませ、大して濃くも無い髭を剃った。
…よし。

ワイシャツを来てズボンを穿き、段ボールを探り、取り出した靴下を穿いた。
スーツの上着とネクタイ、鞄を手に、再び隣の部屋を訪れた。


コンコン。

「は〜い、開いてますから入ってくださ〜い」

ん〜。これでは朝帰りの亭主みたいだな。

まあ…、まあ…。…まあ、だな。

「お邪魔するよ〜」

「どうぞ。大した物では無いですがどうぞ。嫌いな物があったら無理せず残してください」

「あ、うん。大丈夫だ」

「鞄と上着、ネクタイも預かります」

「あ、お、悪い、有難う」

そう言うと、藍原は上着とネクタイを腕に掛け、鞄を持ち、ソファーに置きに行った。
…何だか、出勤前の雰囲気みたいで、いいよなこれって。
おぉ、朝ご飯…。
テーブルに目が行った。

「どうぞ、食べててください」

「あ、ああ。藍原は?」

「私はご覧の通り、身支度が未だですから、先に着替えて来ます」

「あ、そうか。じゃあ、遠慮無く先に頂きます」

「はい、どうぞ」

プレートに、玉子焼き、焼き鮭、南瓜のサラダかな?と…、海苔の佃煮、梅干しが配置良く並べられていた。それに味噌汁、ご飯だ。
最近食べて無い、ちゃんとした和朝食だな。

「あ、坂本さ〜ん。納豆食べますか〜。ありますよ、冷蔵庫の中に〜。ごめんなさい良かったらどうぞ〜」

寝室から声が聞こえた。

「うん、解った〜」

セルフサービス、食べるなら自分で出してってことだ。…フ、誰がどう見たって、細かい事を気にしなければ、共働きの新婚家庭の朝みたいだ。
俺の事を尚紀と呼んでくれていたら、もうバッチリなんだけどな。
…妄想の欲が過ぎるか。
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