興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「ふぅ。あ、ごめんなさい、お茶入れますね。納豆はいいですか?」

「うん、折角だけど、俺、食べるなら納豆は夜食べる派なんだ」

「あ…私も。何だか奇遇ですね」

「藍原もか。そうだな凄い偶然」

確か、美容だか健康だか、食べるなら夜がいいと記憶している。それからだな、夜にしたのは。

コポコポとポットから京須にお湯を注ぐとお茶の香りがたった。

「…はい、お茶どうぞ。…私も頂きます」

湯飲みから湯気が上がっている。

「サンキュ。どうだった?眠れたか?」

「はい。お蔭様で、ぐっすり」

「それは良かった」

「この前の時もです…」

「ん?」

味噌汁を口にした。…旨い。

「坂本さんが鍵を無くして、お泊りした時も、気持ち良く起きられました」

「あー、何かそんなこと言ってたな」

もう一口、飲んだ。

「坂本さんて、私の何なんでしょう」

あ゙?…味噌汁が妙なところに入りそうになった。ん゙ん゙。そんな質問…聞かれても答え辛いわ。正直に言うなら、自分にいいようにしか言えないじゃないか。

「…まあ、あれだけ抱き着いて眠ってくれるんだから?単純に抱き枕なんじゃないの?」

どんな質問なんだ…全く…。

「そうですかね…」

だから自分で考えてくれ。俺と居たら眠れるって事がどういう事なのか。

「生身の人間抱き枕だから、あったかくて、理屈抜きでついうっかり眠れるんじゃないのか?」

濁しておくか。ハハ。

「あ、本当。そうかも知れませんね。何だか温かいし安心しちゃって」

…納得しちゃったよ。まぁ、藍原だから、仕方ないか。


「珈琲、入れましょうか?」

「いや、いいよ。ご馳走様でした。味噌汁、美味しかったよ」

「あー、有難うございます」
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