8歳上のパパ【長期更新停止中】
「……なぁ、美未」
彼の顔が浮かびあがってきた時、一志の声で、ハッと我に返る。
あたしの視線が、ネームプレートにあることに気付いたのか、一志は気まずそうな表情をしていた。
そして……小さな声で呟く。
「……ごめんな」
「え?」
「オレ、弱い人間でごめん。
きっとすごく、美未のこと傷つけた。
わかってたけど、オレ自分のことで精一杯で……」
「……一志……」
再び視線が合い、一志が切なそうに口を開く。
「……知ってんだろ?」
その言葉に、一志の想いが集約されている気がした。
あたしに別れを告げた、本当の理由が。
「……うん」
あたしは、ゆっくりと頷いた。