夢を忘れた眠り姫
建て売りで駅やバス停からちょっぴり遠い場所だからその分お得な値段だったそうだけど、それでも30代で家を持てるというのはやっぱりすごい事だと思う。

しかしそれから約10年後、あの事故があり、売りに出す羽目になったのだった。

だって、大学進学の為上京していて、就職先も都内にするつもりだった私が、その家を維持して行くのは到底無理だと思ったから。

物理的にも金銭的にも。

父が亡くなり相続手続きをしなくてはいけなくなり、父の勤務先の所長さんにあれこれ相談に乗っていただいたのだけれど、メンテナンスは大変だし費用はかさむし、やはり家は売ってしまった方が良いだろうという結論に達したのだ。

その売却金と、両親が昔から貯えてくれていたお金、生命保険金、事故の示談金等合わせると結構な金額になったけれど、代わりに出ていく額もなかなかのもので。

葬儀費用、各税金はもちろんのこと、家を処分するにあたっての手続きや荷物の整理等すべてを一人でこなすのは到底無理に決まっていて、専門家、業者さんの手をお借りしたため、それに対するお支払いもしなくてはいけなかった。

さらに、群馬に『お墓』を建ててしまうとこれまた維持して行くのが大変なので、都内にある、ビル内でお骨を保管してくれて、好きな時にお参りをさせてくれるというサービスを提供している会社と契約を交わしたので、その料金も。
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