再現教室~死のリプレイ~
「なに?」


「先生の話を聞きそびれちゃって、教科書の範囲教えてくれない?」


そう、たしかこんな感じの質問をされたんだった。


「いいよ」


あたしは頷き、一旦鞄に入れた教科書を取り出して有紀に課題の範囲を教えた。


有紀はそれをメモして、その時他のクラスメートから話しかけられたんだ。


「じゃぁねまた明日ね」


あたしは有紀にそう声をかけ、鞄を手に出口へと向かう。


と、その時だった。


「待って! 一緒に帰ろう!」


有紀がそう声をかけて来たのだ。


あたしは驚いて振り向き、鞄を持ってかけてくる有紀を見た。


他の面々はクラスメートがいなくても、目の前にいる事を前提で再現を始めている。


千鶴も、めんどくさそうな顔をしながらもできるだけ細かく放課後を再現しているのが見えた。


「有紀っ……」


あたしは思わず有紀の名前を呼ぶ。


有紀はあたしを追い越してドアへと進んで行った。
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