再現教室~死のリプレイ~
続の言葉にあたしは担任の山田先生を思い出していた。


小柄な女性で、人を1人運ぶ力があるとは思えない。


「例えば、山田に仲間がいたとしたら?」


「……先生でも生徒を運ぶことができるかもしれないけど……でも、理由が全然わからない」


山田先生は生徒から人気で、授業もとても上手だ。


年齢が若いから友達感覚で相談もできるし、たすけてもらっている生徒は多い様子だった。


そんな先生がこんな恐ろしい部屋を作るなんて思えない。


「首謀者はきっと別にいる。


だけどここまで2年A組の教室を忠実に再現しているということは、山田も一枚かんでいると思っておいた方がいいかもしれない」


続の言葉にあたしの中の山田先生のイメージが崩れていくのがわかる。


こんな状況だからか、続の言っていることはすべて正しいような気もしてしまう。


続の憶測を鵜呑みにするのはよくないが、続についていけば生き残れるという気持ちから信じてしまう自分がいる。


「……犯人は誰にしろ、ここから出なきゃね……」


あたしは自分に言い聞かせるように、そう言ったのだった。
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