春うらら
「おー……やっぱりいたか」
頭上から声をかけられて顔を上げると、橋元さんが立っていた。
でも、怒っている様子はなくて、眠っている速見さんに……どこか諦めた顔をしている。
「とりあえず、大変だな。派遣」
「見てないでどうにかしてください」
「めんどくせぇ」
私だっていろいろ面倒くさいよ!
だから、この膝の上の物体をどうにかして!
じっと橋元さんを見据えたら、彼は肩を落とした。
「おい。狸寝入り。派遣ちゃんは人がいいが、お前はどす黒いぞ?」
「狸寝入りじゃない。寝ようとしてた」
けっこうしっかりした声が聞こえてぎょっとする。
ええ? 何? 起きてるわけ?
「速見さん! 起きてるならよけてください! 私は枕じゃありません!」
「じゃあ、抱き枕?」
「んなわけあるかっ!」
起き上がって両手を広げる速見さんに、素早く立ち上がって距離をとる。
「なんだ。お前ら付き合ってんのか?」
橋元さんが胸の前で腕を組み、なんとも複雑そうな顔をするから、思わず彼を振り返った。
「なんでそうなるんですか! こんな不思議な人は私の手にあまります!」
「いや、その言動はどうかと思うが……とりあえず、そうじゃないなら逃げた方がいいぞ?」
「へ?」
……と、呟いた途端に、背後から引き寄せられた。
なんでか私はスッポリと速見さんの腕の中、目を見開いていたら、橋元さんは困ったように笑う。
「ああ。抱き枕でもいいかも」
耳に聞こえる速見さんの声。
その意味が、脳に到達した瞬間に身体が動いていた。
「私は人間ですっ!」
強烈に入った肘鉄に、しゃがみこむ速見さん。
そして橋元さんの大爆笑が青空に響き渡った。
「セクハラはダメですからね!」
ちょっと涙目の速見さんは立ち上がり、困ったように溜め息をつく。
「うん」
……ああ、また一言速見さんが戻ってきちゃってるよ。
頭上から声をかけられて顔を上げると、橋元さんが立っていた。
でも、怒っている様子はなくて、眠っている速見さんに……どこか諦めた顔をしている。
「とりあえず、大変だな。派遣」
「見てないでどうにかしてください」
「めんどくせぇ」
私だっていろいろ面倒くさいよ!
だから、この膝の上の物体をどうにかして!
じっと橋元さんを見据えたら、彼は肩を落とした。
「おい。狸寝入り。派遣ちゃんは人がいいが、お前はどす黒いぞ?」
「狸寝入りじゃない。寝ようとしてた」
けっこうしっかりした声が聞こえてぎょっとする。
ええ? 何? 起きてるわけ?
「速見さん! 起きてるならよけてください! 私は枕じゃありません!」
「じゃあ、抱き枕?」
「んなわけあるかっ!」
起き上がって両手を広げる速見さんに、素早く立ち上がって距離をとる。
「なんだ。お前ら付き合ってんのか?」
橋元さんが胸の前で腕を組み、なんとも複雑そうな顔をするから、思わず彼を振り返った。
「なんでそうなるんですか! こんな不思議な人は私の手にあまります!」
「いや、その言動はどうかと思うが……とりあえず、そうじゃないなら逃げた方がいいぞ?」
「へ?」
……と、呟いた途端に、背後から引き寄せられた。
なんでか私はスッポリと速見さんの腕の中、目を見開いていたら、橋元さんは困ったように笑う。
「ああ。抱き枕でもいいかも」
耳に聞こえる速見さんの声。
その意味が、脳に到達した瞬間に身体が動いていた。
「私は人間ですっ!」
強烈に入った肘鉄に、しゃがみこむ速見さん。
そして橋元さんの大爆笑が青空に響き渡った。
「セクハラはダメですからね!」
ちょっと涙目の速見さんは立ち上がり、困ったように溜め息をつく。
「うん」
……ああ、また一言速見さんが戻ってきちゃってるよ。