春うらら
「君はいつも“一生懸命”だね」
「は、速見さんは、いつも“マイウェイ”を突っ走ってますね」
お互いにニコニコしながら、同時に首を傾げた。
「マイウェイは初めて言われた」
「私も一生懸命は初めて言われました。うるさいとか、騒がしいはよく言われますけど」
「誉め言葉は、そんなしょっちゅう聞いてたらありがたみがないよ」
……今のって、誉め言葉だったんだ。
「あ、ありがとうごさいます」
「でも新見さん、気を使ってくれるのはありがたいけど、話しかけなくても俺は平気だよ」
「私が平気じゃないんです。知らないわけじゃない人と、こんな近くにいながら、お互いに黙り込むとかおかしいじゃないですか!」
「いや、そんなに仲良くもないのにペラペラしゃべれたらすごいよ」
その仲良くもない人間を、いきなり拉致したのはどこのどいつだ!
怒って口を開きかけたら、ひらりと目の前を花弁が通り過ぎ、くるくると廻りながら落ちていく。
それをつい視線で追ってしまう。
さわっと緩やかな風が吹いて振り返ると、薄桃の白井花びらがハラハラと舞い落ちてきて目を見開いた。
「きれーい!」
つい歓声をあげたら、花吹雪の向こうには微笑みを浮かべている速見さんの視線。
「うん」
……どうしてあなたは私を見ながら同意をするのでしょうね?
いいや、ここで顔を赤くしたりしたら、ちょっと勘違い女になっちゃうだろうし……。
とりあえず、半笑いしながら速見さんを眺める。
「は、花吹雪が綺麗ですね」
「ううん」
めちゃくちゃあっさり否定された!
「は、速見さんは、いつも“マイウェイ”を突っ走ってますね」
お互いにニコニコしながら、同時に首を傾げた。
「マイウェイは初めて言われた」
「私も一生懸命は初めて言われました。うるさいとか、騒がしいはよく言われますけど」
「誉め言葉は、そんなしょっちゅう聞いてたらありがたみがないよ」
……今のって、誉め言葉だったんだ。
「あ、ありがとうごさいます」
「でも新見さん、気を使ってくれるのはありがたいけど、話しかけなくても俺は平気だよ」
「私が平気じゃないんです。知らないわけじゃない人と、こんな近くにいながら、お互いに黙り込むとかおかしいじゃないですか!」
「いや、そんなに仲良くもないのにペラペラしゃべれたらすごいよ」
その仲良くもない人間を、いきなり拉致したのはどこのどいつだ!
怒って口を開きかけたら、ひらりと目の前を花弁が通り過ぎ、くるくると廻りながら落ちていく。
それをつい視線で追ってしまう。
さわっと緩やかな風が吹いて振り返ると、薄桃の白井花びらがハラハラと舞い落ちてきて目を見開いた。
「きれーい!」
つい歓声をあげたら、花吹雪の向こうには微笑みを浮かべている速見さんの視線。
「うん」
……どうしてあなたは私を見ながら同意をするのでしょうね?
いいや、ここで顔を赤くしたりしたら、ちょっと勘違い女になっちゃうだろうし……。
とりあえず、半笑いしながら速見さんを眺める。
「は、花吹雪が綺麗ですね」
「ううん」
めちゃくちゃあっさり否定された!