春うらら
「花吹雪の中の新見さんの方が綺麗」
か、勘違いじゃなくて、私が“綺麗”って、本当に言ってる?
速見さん。目がおかしくなったんじゃないだろうか?
「今日の新見さんは、珍しく白いワンピースだし。髪を下ろしているし、何だかお洒落だね」
「ああ。ありがとうごさいます」
確かにいつもは無造作お団子頭に、スキニーにTシャツ姿ですけども。
私だって女の端くれだ、たまにはお洒落だってするよ!
本当にたまにだけどね。
なるほどなるほど、私が見慣れない姿だから、お世辞を言ってくれたのか。
「でも、スプリングコートがキャメルなのはどうだろう……やっぱりここはパステルカラーじゃないか?」
「え。駄目ですかね? ワンピース買ったら、ちょっと予算オーバーしちゃって……」
……って、なんで速見さんと春の装いについておしゃべりしてんの、私!
相手は男! しかも派遣先の正社員!
頭が混乱しかけた時、彼は何かに気がついたような表情になる。
「あー……新見さんは派遣だったね。正社員にならないの?」
「えーと、実は夢がありまして……正社員では、その……差し障りがあると言いますか」
「へえ? 何?」
あらららら? なんだろう。この自分の夢を語りなさい的な雰囲気。
速見さんはガッツリこっち向いているし、何だか微笑ましそうに聞く体勢になっているし……。
「えーと……雑貨屋さん。可愛い小物とか集めて、販売したり作ったり」
「それなら、どうして雑貨屋さんで働かないの?」
「潰れちゃったからです」
不況は回復……みたいな事をニュースでやってるけど、全部が全部って訳でもないし。
北海道はまだまだそんな気がしない。
「じゃあ、色のセンスも磨こうか」
うるさいわい。
思わず半目になったら、速見さんが吹き出した。
……珍しい。速見さんが声を出して笑っている。
「あー……もう、本当に新見さんって面白いよねー」
私は全然面白くないですが。
か、勘違いじゃなくて、私が“綺麗”って、本当に言ってる?
速見さん。目がおかしくなったんじゃないだろうか?
「今日の新見さんは、珍しく白いワンピースだし。髪を下ろしているし、何だかお洒落だね」
「ああ。ありがとうごさいます」
確かにいつもは無造作お団子頭に、スキニーにTシャツ姿ですけども。
私だって女の端くれだ、たまにはお洒落だってするよ!
本当にたまにだけどね。
なるほどなるほど、私が見慣れない姿だから、お世辞を言ってくれたのか。
「でも、スプリングコートがキャメルなのはどうだろう……やっぱりここはパステルカラーじゃないか?」
「え。駄目ですかね? ワンピース買ったら、ちょっと予算オーバーしちゃって……」
……って、なんで速見さんと春の装いについておしゃべりしてんの、私!
相手は男! しかも派遣先の正社員!
頭が混乱しかけた時、彼は何かに気がついたような表情になる。
「あー……新見さんは派遣だったね。正社員にならないの?」
「えーと、実は夢がありまして……正社員では、その……差し障りがあると言いますか」
「へえ? 何?」
あらららら? なんだろう。この自分の夢を語りなさい的な雰囲気。
速見さんはガッツリこっち向いているし、何だか微笑ましそうに聞く体勢になっているし……。
「えーと……雑貨屋さん。可愛い小物とか集めて、販売したり作ったり」
「それなら、どうして雑貨屋さんで働かないの?」
「潰れちゃったからです」
不況は回復……みたいな事をニュースでやってるけど、全部が全部って訳でもないし。
北海道はまだまだそんな気がしない。
「じゃあ、色のセンスも磨こうか」
うるさいわい。
思わず半目になったら、速見さんが吹き出した。
……珍しい。速見さんが声を出して笑っている。
「あー……もう、本当に新見さんって面白いよねー」
私は全然面白くないですが。