あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
彼のほうを見つめると、ぽんと、頭を叩かれた。
「お前このままじゃ、眠れなさそう」
「……はい」
眠れそうにない。
きっと、ベッドに入っても、明日の流れを何度もシミュレーションしてしまう。
彼がブレーキを踏んだ。
外を見ると、私のマンションの前だ。
「……主任、ありが……」
「このまま、お前んち、上がっていいか?」
私の言葉にかぶせるように、放たれた主任の言葉。
その意味を理解した途端、頬が赤くなる。
主任が私の部屋に上がるとき。
することなんて決まっている。
だけど、こんな風に、誘われたことってなかったから。
いつも無言でやってきては、無言で帰っていく人だったから。
誘われたのが嬉しくて。
「俺に抱かれたら、よく眠れるだろ?」
いつの間にか、コクリと頷いていた。