あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


ロックを解除すると、数分も経たないうちに、主任は部屋の前まで来た。

「すみません。今日はご迷惑をお掛けしました」

玄関先で頭を下げた私を主任は顔を上げさせて、部屋に入ってきた。

キッチンで立ち止まり、私にスーパーの袋を渡す。

「春日から聞いた。昼飯食ってないらしいな。あっさりしたものならいけるかと思って、ゼリーとか色々買ってきた」

「あ、ありがとうございます」

「冷蔵庫入れとくな」

「はい」

主任にとっては勝手知ったる私の家だ。
冷蔵庫に次々とゼリーやプリン、ヨーグルトなどを入れていく。

そのあと、リビングに連れて行かれソファに座らされた。
隣に座った主任が私の顔を覗き込む。

「病院へは行ったのか?」

「……はい」

「なんて?」

少し躊躇ってから、答える。

「胃腸系の風邪らしいです」

妊娠したんです、とは言えなかった。

彼はそうか、ってどこか納得したようだったから、安心した。

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