熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
みさきちゃんか、なみがいれば、あたしをかばってくれたと思うけど、2人とも女子トイレの掃除担当で今ここにはいない。
思いがけない孤独感にさいなまれたあたしは、目がチクチクしてくるのを感じた。そしてカラダの震えも感じた。
もういいよ、あたしが犯人ってことでいい。あたしがこのままガマンしてれば、すべては丸く収まるんだから……。
あたしは黙ってその場にしゃがみこむと、砕け散ったガラスのかけらを拾いはじめた。
「イタっ…」
ナイフみたいなガラスのかけらが、ちょっと触れただけなのに指先を切り裂いた。
だけど指先よりも胸の奥のほうが痛かった。
「なんで、お前が片付ける必要があるんだ」
不意に誰かの声がした。聞き慣れない声。すごく落ち着いた感じの男子の声だ。
廊下のほうを見ると、比嘉航平くんがこっちを見ていた。彼は階段掃除の担当だから、さっきまでここにはいなかったはず。
「なんだよ、お前、カンケーねぇんだから余計なクチ出しすんなよ」
「あいにく俺は事件の目撃者……つまり関係者ってことだ」