熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「あの…歩きながらでいいんで…もう少しお話し…いいですか…?」
「…つーか、タメぐちでいいよ。タメぐちで」
「はい…」と言って、慌てて「うん…」と言い直した。
「あのぅ…一つ質問してもいい…?」
「質問? 別にいいけど」
今あたし、フツーに彼と話してる。今、このタイミングならどんなことでもできそう。いつもおとなしくて控え目なあたしだけど、たまには調子に乗るのもいいと思う。
「いつも学校で機嫌が悪そう…ってゆーか、つまらなさそうにしている比嘉くんと、今朝みたいによくしゃべる比嘉くん……いったいどっちが真実の比嘉くんなのかな、って」
「へ…?」
そんな質問されるとは思わなかった、そういう顔をする彼。
「ま、確かに俺は愛想のいいほうじゃねぇし、いつも“ぶっちょうづら”をしてるけど、別に機嫌が悪いわけでも怒ってるわけでもねぇよ。そーいう意味では、今の俺が真実の俺っていえるのかもしれねぇな」
「へぇ、そーなんだ…」
もしかして、あたしだけに見せてくれている彼の真実の姿なのかと思うと、自分だけがトクベツ扱いされているような優越感がある。