偽りの姫は安らかな眠りを所望する
翌朝になり、少々眠たい目を擦りながら朝の香茶の用意をしていると、カーラが不思議そうな顔でやってくる。
「おはようございます。なにか?」
ポットの中身を覗く彼女に、ティアが手を止めた。
「いえ。今日はいつもと少し香りが違うようだから」
意外に鋭いカーラの嗅覚を知り、ティアが顔を綻ばせる。
「おわかりになりましたか!? 昨夜、フィリス様のご様子を診させていただいて、香草の配合を変えてみたんです」
「そういえば、昨晩はすまなかったわね。……その、なにか、変わったことはありませんでしたか?」
カーラが歯切れ悪く聞くが、ティアは首を横に振った。
窓を開けようとして怒られたのはきっと、薔薇の香りが入ってくるからだ。
フィリスが薔薇を毛嫌いしていることは、初日に重々思い知らされていた。
だから昨日使った精油類も、徹底的に薔薇を除外していたのに、それを失念していた自分の過ちだ。
「……そう、ならいいのだけれど。これはもう、持っていってもいいのかしら?」
盆の上の茶の用意を指され、ティアはポットに湯を注いでうなずく。
フィリスの部屋につく頃には、ちょうど良い蒸らし具合になるはずだ。
少し重たくなったお盆を渡しながら、ティアは起きた時から気になっていたことをカーラに尋ねてみる。
「昨日の夜、姫様はゆっくりお休みになったのでしょうか?」
少なくとも、ティアが部屋を出て行くまでは眠っていた。あのまま朝を迎えることができたのだったら、それは喜ばしいことだ。
「おはようございます。なにか?」
ポットの中身を覗く彼女に、ティアが手を止めた。
「いえ。今日はいつもと少し香りが違うようだから」
意外に鋭いカーラの嗅覚を知り、ティアが顔を綻ばせる。
「おわかりになりましたか!? 昨夜、フィリス様のご様子を診させていただいて、香草の配合を変えてみたんです」
「そういえば、昨晩はすまなかったわね。……その、なにか、変わったことはありませんでしたか?」
カーラが歯切れ悪く聞くが、ティアは首を横に振った。
窓を開けようとして怒られたのはきっと、薔薇の香りが入ってくるからだ。
フィリスが薔薇を毛嫌いしていることは、初日に重々思い知らされていた。
だから昨日使った精油類も、徹底的に薔薇を除外していたのに、それを失念していた自分の過ちだ。
「……そう、ならいいのだけれど。これはもう、持っていってもいいのかしら?」
盆の上の茶の用意を指され、ティアはポットに湯を注いでうなずく。
フィリスの部屋につく頃には、ちょうど良い蒸らし具合になるはずだ。
少し重たくなったお盆を渡しながら、ティアは起きた時から気になっていたことをカーラに尋ねてみる。
「昨日の夜、姫様はゆっくりお休みになったのでしょうか?」
少なくとも、ティアが部屋を出て行くまでは眠っていた。あのまま朝を迎えることができたのだったら、それは喜ばしいことだ。