俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
◇◇◇

「って、話をさっき羽衣ちゃんとしたよ。 お前はともかく俺まで心配されてるのは心外だけどね」

社長室でカタカタとキーを叩く洸の横で、誠治はのんびりと出前した寿司を食べている。
羽衣子は総務部と秘書室の定例会議のため席を外しているので、今は洸と誠治の二人きりだ。

「営業報告しにきて、飯を食うな。用件が済んだなら仕事に戻れ」

「今日はもう終わり。
俺は洸と違って、人を使うのがうまいから自分の仕事はそんなに抱えてないよ」

「じゃ、これ手伝え」

洸は手付かずの書類を誠治の前に積み上げた。

実は最初から洸を手伝うつもりできた誠治は大人しく差し出された書類に目を通しはじめる。


「・・・けどさ。洸、最近は彼女も作らなくなったじゃん。 遊んでる様子もないしさ。 何か心境の変化でもあった?」

誠治がちらりと洸に視線を向ける。

「あぁ、結婚するから身辺整理した。それだけだ」

洸は何でもないことのようにさらりと答えた。

「ーーは?」

誠治は口に運ぼうとしていた寿司を大事な書類の上にぼとりと落とした。
醤油の染みがじわじわと広がり、もう書類は使い物にならなそうだ。

が、誠治の頭は書類どころじゃなくなっているようだ。


「はぁ!? 結婚?? お前が?」

「あぁ。別に式とか挙げるつもりはないし、仕事には支障ない・・」

「誰と?? いつ、そんな話が出た!?
もしかして綾瀬頭取の話、本気だったのか??」

誠治は掴みかからんばかりに洸に詰め寄り、矢継早に質問を重ねた。

「綾瀬頭取? 第一銀行の?何の話だ?」

洸は怪訝な顔を見せたが、すぐにあることに思い至った。

第一銀行はプリュムのメインバンクであり、筆頭株主でもある。
そういえば少し前に、頭取の孫娘を嫁にどうかと勧められたのだ。

誠治はそのことを言っているのだろう。
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