俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
昔から、羽衣子は洸を何でも出来る神様か何かと勘違いしている節がある。
洸だって人間なんだし、出来ないこともあるはず。

だけど・・・いつだって・・・

羽衣子に大丈夫だと言われると、不思議とその通りになった。

他の人間に言われたのなら重荷にしか感じない言葉も、羽衣子が言うとすんなりと受け入れられる。

洸が何でも出来るのは、案外羽衣子のおかげなのかも知れない。


羽衣子はブランコをぐんと大きく漕ぐと、制服のスカートをふわりと翻して地面に着地した。
鈍臭い羽衣子にしては、綺麗なジャンプだった。


「それにさ・・・洸ちゃん、自分じゃ気づいてないかも知れないけど、おじさんが仕事してるとこ、いつもすっごく真剣な顔して見てるんだよ。
尊敬してるんだなって私でもわかるよ」


「・・・羽衣子の癖に、偉そうなこと言ってんなよ」

洸が少し背が伸びた羽衣子の頭をポンと叩くと、羽衣子はへへっと笑った。

自分の心に澱のように溜まっていたもやもやがすっと消えていくのを洸は感じた。

「ほらっ。私がついててあげるから、帰っておじさんに謝ろうよ」

「そんで、ついでにうちで飯食ってくんだろ?」

「ばれた? だって、今日うちのお母さん修学旅行の引率でいないんだよ〜。北海道なんて、最近の中学生は贅沢だよねぇ」


羽衣子と並んで、他愛もない話をしながら家に戻った。

けど、そこに両親はいなかった。


そして、


洸と羽衣子がどれだけ待っても、両親がこの家に戻ってくる事はなかった。
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