俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
翌朝。今日も洸は朝から外出で昼過ぎの出社予定だった。だから、羽衣子は社長室ではなく隣の秘書室へと向かった。
「おはようございます」
挨拶をして部屋に入るものの、3人いるメンバーうち挨拶を返してくれたのは川上さんだけだった。いつものことなので特に気にも留めず羽衣子は席に着いた。
「茅野チーフ。昨日、社長あのリー・マーロウと会食だったんですよね⁉︎ どんな感じだったんですかね〜?」
席に座るなり、川上さんが肩を寄せてきてひそひそと囁いた。
「あぁ、いい感じだったみたい。けど、本決まりまでは社内でも内密にって」
誠治も言っていた通り、リー・マーロウ氏との提携が本決まりになれば社としては大きなチャンスなのだろう。洸は随分前からアジア、特に中国のマーケットを意識していた。香港拠点のブランドと手を組めたら、いい足がかりになるはずだ。
「仕事の話は置いといて〜! リー・マーロウってすっごい美人じゃないですか⁉︎
社長がお持ち帰りされてないか心配で心配で‥‥」
始業早々に仕事の話を置いておけるあたり、ものすごく川上さんらしい。羽衣子はぷっと吹き出してしまってから、慌てて真面目な顔を作る。
「そういうことは終業後に直接社長に聞いてください」
粘る川上さんをなだめつつ、今日の仕事に取りかかる。洸が不在なせいか、秘書室はいつになく静かで全員が黙々と自分の仕事に向き合っていた。静寂を破ったのは受付から入った一本の電話だった。
ルルル、ルルル。
その音は妙に甲高く響いた。受話器を取ったのは川上さんだ。
「はい、秘書室。川上でございます。‥‥えぇ、社長は外出中です。アポの無いお客様はちょっと‥‥えっ⁉︎ 本当ですか?
わっ、ちょっと待ってくださいね〜」
前半の秘書風の言葉遣いから一転、最後の方はすっかり素が出てしまっている。川上さんの声の調子を聞いただけで、なにか大変なことが起きたことがわかる。川上さんは保留ボタンを押すと、すぐに泣きついてきた。
「茅野チーフ! どうしましょう⁉︎ 下にアポ無しできてるんですって!」
「どなたが? 社長のお客様よね?」
「噂のリー・マーロウですっ」
想定外の人物で羽衣子も一瞬固まってしまった。アポ無しの困った訪問者といえば、めちゃくちゃなクレーマーか自称マスコミ関係者か、精々そのあたりだと思っていたのだ。まさか、世界的デザイナーが自ら乗り込んでくるとは思いもしなかった。
「おはようございます」
挨拶をして部屋に入るものの、3人いるメンバーうち挨拶を返してくれたのは川上さんだけだった。いつものことなので特に気にも留めず羽衣子は席に着いた。
「茅野チーフ。昨日、社長あのリー・マーロウと会食だったんですよね⁉︎ どんな感じだったんですかね〜?」
席に座るなり、川上さんが肩を寄せてきてひそひそと囁いた。
「あぁ、いい感じだったみたい。けど、本決まりまでは社内でも内密にって」
誠治も言っていた通り、リー・マーロウ氏との提携が本決まりになれば社としては大きなチャンスなのだろう。洸は随分前からアジア、特に中国のマーケットを意識していた。香港拠点のブランドと手を組めたら、いい足がかりになるはずだ。
「仕事の話は置いといて〜! リー・マーロウってすっごい美人じゃないですか⁉︎
社長がお持ち帰りされてないか心配で心配で‥‥」
始業早々に仕事の話を置いておけるあたり、ものすごく川上さんらしい。羽衣子はぷっと吹き出してしまってから、慌てて真面目な顔を作る。
「そういうことは終業後に直接社長に聞いてください」
粘る川上さんをなだめつつ、今日の仕事に取りかかる。洸が不在なせいか、秘書室はいつになく静かで全員が黙々と自分の仕事に向き合っていた。静寂を破ったのは受付から入った一本の電話だった。
ルルル、ルルル。
その音は妙に甲高く響いた。受話器を取ったのは川上さんだ。
「はい、秘書室。川上でございます。‥‥えぇ、社長は外出中です。アポの無いお客様はちょっと‥‥えっ⁉︎ 本当ですか?
わっ、ちょっと待ってくださいね〜」
前半の秘書風の言葉遣いから一転、最後の方はすっかり素が出てしまっている。川上さんの声の調子を聞いただけで、なにか大変なことが起きたことがわかる。川上さんは保留ボタンを押すと、すぐに泣きついてきた。
「茅野チーフ! どうしましょう⁉︎ 下にアポ無しできてるんですって!」
「どなたが? 社長のお客様よね?」
「噂のリー・マーロウですっ」
想定外の人物で羽衣子も一瞬固まってしまった。アポ無しの困った訪問者といえば、めちゃくちゃなクレーマーか自称マスコミ関係者か、精々そのあたりだと思っていたのだ。まさか、世界的デザイナーが自ら乗り込んでくるとは思いもしなかった。