俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
応接間のソファに座ったリー・マーロウの前に羽衣子はそっと緑茶を置いた。
「ありがとう、日本茶ね。嬉しいわ」
「日本語、お上手なんですね」
「私の祖母は日本人なの。生まれは香港だけど、日本のハイスクールに留学経験もあるわ」
羽衣子は心の中で洸に悪態をついた。日本語話せるなら、そう言ってくれればよかったのに!必死に英語を思い出そうとした時間を返して欲しい‥‥。
「本当に申し訳ございません。永瀬は30分くらいで戻りますのでもうしばらくお待ちください」
「謝ることないわ。約束もなくきた私が悪いんだから。けど、明日の夜には香港に戻る予定だからもう一押ししておきたいなって思ってね」
綺麗な日本語でそう言うと、彼女は可愛らしくウインクしてみせた。黙っているとクールな印象を与えるけれど、話し出すとくるくると表情が変わる。偉ぶったところもないし、とても魅力的な人だ。
ほんの一瞬で羽衣子もファンになってしまった。
「数年前に来日したときに偶然プリュムのジュエリーを見てね、すっかり気に入ってしまったの。日本らしいキュートなデザインと繊細な技術が素晴らしいわ」
「ありがとうございます」
「それに、コウ・ナガセの経営手腕もなかなかのものね。アジアなんて小さいこと言わず、世界を舞台に仕事をしましょうって口説いてみたんだけど‥‥」
「世界を舞台に?」
どうやら羽衣子の想像以上のスケールで話は進んでいるようだ。喜ばしいことのはずなのに、羽衣子の心は重く沈んだ。置いていかれる、洸がますます遠くなってしまう。そんなふうに感じてしまった。
「そう。まずはアジアでも構わないけど、いずれはNYに拠点を移してやっていきたいと私は考えてるの」
NY‥‥って、成田からどのくらいかかるんだっけ?羽衣子はそんなことすら知らなかった。羽衣子の知らない遠い遠いところへ洸は行ってしまう。もう美羽町の工房で作業をする洸に珈琲をいれることもなくなるのかな‥‥。
胸も頭も、全身がスギズキと痛む。心にぽっかりと空いた穴はどんどん広がっていってもう無視できない大きさだ。
リー・マーロウは羽衣子をじっと見つめて、クスリと笑った。
「あなたがコウのミューズね。すぐにわかったわ」
「ありがとう、日本茶ね。嬉しいわ」
「日本語、お上手なんですね」
「私の祖母は日本人なの。生まれは香港だけど、日本のハイスクールに留学経験もあるわ」
羽衣子は心の中で洸に悪態をついた。日本語話せるなら、そう言ってくれればよかったのに!必死に英語を思い出そうとした時間を返して欲しい‥‥。
「本当に申し訳ございません。永瀬は30分くらいで戻りますのでもうしばらくお待ちください」
「謝ることないわ。約束もなくきた私が悪いんだから。けど、明日の夜には香港に戻る予定だからもう一押ししておきたいなって思ってね」
綺麗な日本語でそう言うと、彼女は可愛らしくウインクしてみせた。黙っているとクールな印象を与えるけれど、話し出すとくるくると表情が変わる。偉ぶったところもないし、とても魅力的な人だ。
ほんの一瞬で羽衣子もファンになってしまった。
「数年前に来日したときに偶然プリュムのジュエリーを見てね、すっかり気に入ってしまったの。日本らしいキュートなデザインと繊細な技術が素晴らしいわ」
「ありがとうございます」
「それに、コウ・ナガセの経営手腕もなかなかのものね。アジアなんて小さいこと言わず、世界を舞台に仕事をしましょうって口説いてみたんだけど‥‥」
「世界を舞台に?」
どうやら羽衣子の想像以上のスケールで話は進んでいるようだ。喜ばしいことのはずなのに、羽衣子の心は重く沈んだ。置いていかれる、洸がますます遠くなってしまう。そんなふうに感じてしまった。
「そう。まずはアジアでも構わないけど、いずれはNYに拠点を移してやっていきたいと私は考えてるの」
NY‥‥って、成田からどのくらいかかるんだっけ?羽衣子はそんなことすら知らなかった。羽衣子の知らない遠い遠いところへ洸は行ってしまう。もう美羽町の工房で作業をする洸に珈琲をいれることもなくなるのかな‥‥。
胸も頭も、全身がスギズキと痛む。心にぽっかりと空いた穴はどんどん広がっていってもう無視できない大きさだ。
リー・マーロウは羽衣子をじっと見つめて、クスリと笑った。
「あなたがコウのミューズね。すぐにわかったわ」